2020年8月22日

グリーンカード

2020年8月にグリーンカード(永住者カード)が届きました。

申請から実に 1 年半。実際に作業が忙しかったのは申請書類を準備する際の2-3週間程度で、基本あとは待つだけとはいえ、予想のつかないトランプ大統領の移民政策やコロナウィルス騒動もあり、本当に審査が終了するのかよくわからない 1 年半でした。



激動の 2020 年の記録として、申請経緯を残して置きたいと思います。

私たちの場合は I-140, I-485の2段階のステップがありました。

I-140 Immigrant Petition for Alien Worker 
(雇用主の移民スポンサー申請)

雇用ベース(Employment-Based)の永住権申請にあたっては EB-1(何かに秀でた人)から EB-5(投資家)までの 5 つのカテゴリがあり、さらに EB-1 の中には EB-1-1 から EB-1-3 まで 3 つのサブカテゴリがあります。私の場合は EB-1-3 という国際企業の管理職のためのカテゴリでの申請でした。

雇用主(会社)が申請者となり、その会社が立派な国際企業であり給与を支払う経済力があるか、そして本人が申請前に海外で 1 年以上管理職についており、US でも同様の管理職につくのか、その業務内容が審査されます。端的に言うと「我が社で海外から異動させる必要があるこの人材に永住権を認めて下さい」という申請になります。

労働者側からすると非常に有り難い話ですが、そもそも外国人を採用する会社側のゴールは長期雇用なので、非移民の労働ビザの有効期限(L-1Aなら最長 7 年、H-1Bなら最長 6 年)が切れる前に永住権の確保をサポートする合理的理由があります。

もちろん長期雇用といっても、アメリカ企業なので成果が出なければすぐクビになり、非移民の労働ビザを失うことになります。その前に永住権を確保していれば転職等も容易になるので、労働者側にも申請を急ぐ理由があります。

結果として(うちの会社では)多くの外国人労働者が、入社してすぐに永住権の申請手続きを開始することになります。

  • 2018年10月1日: アメリカ本社に正式に転籍
  • 2018年10月29日: 弁護士と打ち合わせの上、EB-1-3 での申請を決定
    • 当時は EB-1-3 (国際企業管理職カテゴリ)の審査が厳格化・長期化しており、EB-2(院卒カテゴリ)も並行して検討していました。
  • 2018年11月18日: 家族がアメリカ入国
  • 2018年12月1日:  従業員側で用意する資料の作成完了
    • 申請は会社ですが、書類を書くのは従業員。業務内容を16ページに渡り説明家族全員が入国していることを示す証憑も必要です。
  • 2018年12月24日: 上記資料に基づき弁護士側で申請書ドラフト完成
  • 2019年1月15日: 人事部署名の上、USCIS(移民局)に申請
  • 2019年1月16日:  移民局で申請書を受領 (Priority Date)
    • あとは待つだけ。
  • 2020年6月4日: 審査完了 & I-140 承認


I-485 Application to Register Permanent Residence or Adjust Status 
(永住権登録または滞在資格の変更申請)

I-140 の承認に基づき、現状の非移民ビザ(私の場合は L-1Aビザ)の移民ビザ(グリーンカード)への変更を本人が申請します。犯罪歴・渡航歴・身体検査や婚姻関係等、家族を含む申請者本人が永住権の資格を有する人物であるかが審査され、指紋や顔写真等の生体情報(バイオメトリクス)の登録も行います。

本来 I-140 との同時申請が可能らしいのですが、2019 年 1 月時点では I-485 の申請が制限されていました。I-485 は永住権申請の最終プロセスなので、その申請数を制限することで永住者の数をコントロールできます。

永住ビザには、多様性を重んじる国ならではの「単一の出生国への発給数が全体の 7% を越えてはいけない」というルールがあります。そのため人口が多いインドや中国生まれの人は常に申請制限が発生していますが、日本を含む全世界を対象に EB-1 に対する制限が発生するのは稀です。

制限の仕方は「先着順」、つまり最初に申請を始めた日(Priority Date)が古い人から順次申請を許可する形での制限となります。私の Pirority Date (I-140を申請した 2019年1月16日)で I-485 の申請が可能になったのは、I-140 承認から 4 ヶ月後の 2019年10月でした。

  • 2019年9月18日: 10月に申請できることがわかり、準備開始。
  • 2019年9月24日: 「年末の一時帰国前に申請を済ませたい」と弁護士事務所に相談。申請書式が変更される見込みであり、万全を期すためには 10月7日までに全書類を揃える必要があると言われる
    • 最も足が長いのが身体検査証明(I-693)。費用も高額(4人で 40 万円)で「医師がサインしてから 60日以内に申請」という条件があるため、申請時期が決まるまで準備することが出来ません。
    • 血液検査など足が長いため、大急ぎでビザ申請専門の病院(Travel Medicine)を見つけて、家族 4 人の身体検査の予約を入れます。
  • 2019年9月27日: ビザ申請専門の病院にて身体検査
    • 妊娠 9 ヶ月の妻と子供 2 人を連れて、14:30-17時で医師の面接、検査および予防接種の嵐。午前中にも別件で病院に行く用事が 2 件あり、今回申請で一番大変な一日でした。
  • 2019年10月2日: 過去のパスポートのコピーの準備
    • 渡航歴の証明として、家族 4 人全員の過去のパスポート全て(計13冊)の全ページをスキャンして送ります。夜 9 時に無人の会社で複合コピー機を拝借して スキャンしまくること約 1 時間。。。
  • 2019年10月4日: 再度病院を訪れ、身体検査証明の完成・発送
    • 血液検査の結果必要になった追加の予防接種等を実施。病院側が資料を整えてくれていたので、その場で書類をまとめて速達で弁護士事務所に発送。
  • 2019年10月7日: 必要書類が弁護士事務所に届く
  • 2019年10月15日: 弁護士事務所が申請書をまとめ移民局に申請
  • 2019年10月17日: 移民局が申請書受領
    • まずは一安心。
  • 2019年11月12日: 移民局での指紋採取日確定
    • 書類審査と並行して、移民局から「指紋採取と写真撮影をするから 11月21日11時に来い」との通知が郵送で届きます。予定変更は事実上不可能とされています。
  • 2019年11月21日: サンノゼの移民局オフィスにて家族全員指紋採取
    • 平日なので学校は休ませざるを得ませんでした。ただこの手続きが済んだことで、無事年末年始は日本に帰国できました。

こちらに出来る手続きはここで終わりで、あとは待つだけなのですが、2020年に限ってはコロナのために色々なドラマがありました。

  • 2020年2月2日: 家族 4 人分の EAD と SSN が到着
    • グリーンカードの申請期間は長いので、その間に支障なく生活できるよう、I-485 の申請時に、EAD(労働許可証)と SSN(社会保障番号)を同時申請できるようになっています。
    • 簡単に SSN が取れる大人と違い、私の知る限り、収入のない子供はグリーンカード申請以外の方法では簡単に SSN をもらえません。発行されたことで、子供たちの銀行口座を作れるように。 
  • 2020年3月11日: トランプ大統領が特定国からの(米国市民・永住者以外の)入国を拒否す大統領令を発令
    • グリーンカード取得は「業務」なので、取得前に海外に出てUSに戻れなくなる事態は避けなければなりません。この辺りで実質的に当面の帰国が不可能になります。
  • 2020年3月18日: 移民局が I-485 申請に係るインタビュー業務の停止を発表
    • 対面インタビューは、I-485 審査の重要かつ最後のプロセスです。この発表により帰国不能状態がいつまで続くのか不透明になります。
  • 2020年4月22日: トランプ大統領が海外からの永住権申請を 60 日間停止する大統領令を発令
    • 弁護士によれば「US 国内で申請しているため影響なし」とのこと。
    • と思ったら 6 月 12 日のニュース によると、(私たちを含む)US国内からの永住権申請の書類審査も停止されていた模様。6 月 17 日のニュースでは審査業務の再開が周知されますが、おそらく 4 月 22 日から 2 ヶ月弱止まっていたのでしょう。 
  • 2020年6月22日: トランプ大統領が海外での永住権申請停止を年内一杯延長、H-1B ビザや L-1 ビザについても年内発給停止とする大統領令を発令
    • 11月の選挙が終わるまで帰国はなさそうと考え始めます。

ところがこの1ヶ月後、一気にプロセスが動き始めます。誰か有力者がゴネたのでしょうか。。。

  • 2020年7月31日: 申請書のステータスが "New Card Is Being Produced"(カード印刷開始)に
    • 唐突に申請が承認されたことがわかります。書類審査が完了し、ソーシャルディスタンスの観点からインタビュー免除の判断がなされたようです。よかった。
  • 2020年8月6日: 承認通知書(I-797) 受領
    • グリーンカード(ビザ)ではないので入国には使えませんが、「外国人番号」の入った公式書類なので、USの生命保険や住宅ローンの申し込みが可能になります。 
  • 2020年8月19日: ステータスが "発送済み" に
    • 通常ならもっと前に発送されるはずでしたが、 当時のニュース によるとコロナウイルス騒動のお陰でビザ申請数・手数料収入が激減し、移民局の予算が底をつき、115,000 枚の印刷バックログが発生していたそうです。移民局大変だな。。
    • 審査が完了した 7/31 時点で、パスポートの非移民ビザ(私の場合は L-1A) が無効化されているので、カードが届かないと本気で出国できません。移民も大変です。
  • 2020年8月22日: グリーンカード到着。
    • これでおしまい。

人口が多いインドからの EB-2, EB-3 の申請待ちは 10年以上 (!)で、大きな問題になっています。それでも 2050-2060 年頃にはアメリカの人口は4億を超えると言われており、移民はこの国の成長を支える大きな要素の一つです。

コロナの状況を考えれば、無事審査が完了しただけでもよかったです。移民システムの複雑さ、アメリカ(と一部大統領)の波乱万丈さ、色々と振り回される移民たちの苦労等、学びの多い 1 年半でした。